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『歯並び(はならび)』が悪くなってしまう原因(呼吸編)

『歯並び』が悪くなってしまうのは様々な原因が考えられますが、今回は特に『呼吸』についてお話したいと思います。

『矯正治療(きょうせいちりょう)』を行えば『歯並び』は改善しますが、原因がそのままであれば装置を外すとまた『歯並び』は乱れてしまいます。というわけで何よりも大事なのが現在の『歯並び』になってしまった原因を考え、改善することなのです。

『歯列不正(しれつふせい)』にもいろいろありますが、多くの歯列不正は『前歯(まえば)』から始まる場合が多く、一番多いのは『叢生(そうせい)』と呼ばれるガタガタの歯並びではないでしょうか?ガタガタの歯並びは『顎(あご)』の成長不足の結果です。
そもそも歯は並ぶ場所があれば『舌(べろ)』で内側から押す力と『唇』で外側から抑える力の丁度バランスが取れたところに並んでいきます。
顎が小さく歯の並ぶ場所がなければ歯は並びません。
ではなぜ顎が小さいままで成長しないのでしょうか?
原因は沢山考えられますが、そのひとつに今回とりあげる呼吸があると思います。

『舌の役割』

先程お話ししたように歯は並ぶ場所があれば『舌(べろ)』で内側から押す力と『唇』で外側から抑える力の丁度バランスが取れたところに並んでいきます。
そこで舌と唇の関係が非常に重要になってきます。皆様は舌の先端はどこについていますか?どこにもついていないでしょうか?下の前歯の裏側でしょうか?上の前歯の裏側でしょうか?正解は上の前歯の根元の歯茎に接していて『舌背(ぜっぱい)』と呼ばれる舌の表面は『上顎(うわあご)』全体に吸い付いている状態(吸着)が正しい舌の位置なのです。舌は筋肉の塊ですので、継続的に舌が上顎を押すことで上顎の成長を後押ししてくれているのです。
また、舌が上顎にしっかり吸着することで『下顎(したあご)』の位置も安定するのです。

『鼻呼吸』と『口呼吸』

舌が上顎に吸着している状態では口で呼吸は出来なくなりますが、これが本来あるべき状態なのです。お口は飲食と発音の器官であり、本来空気の通り道ではありません。それどころか口が空気の通り道にる『口呼吸(くちこきゅう)』だとお口の中を守ってくれる『唾液(だえき)』が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクも高まってしまいます。
鼻の穴が二つあるのにも理由があり、通りやすい穴が数時間ごとに交互に入れ替わっているのです。これを『ネイザルサイクル』と言います。つまり、構造的にも鼻が空気の通り道なのです。また、『鼻腔(びくう)』のすぐ上には『脳』があります。脳は非常に熱を発する器官ですので、『鼻呼吸(びこきゅう)』は脳を冷やす『ラジエーター』という重要な役割があるのです。この役割が上手くいかないと脳の正常発育にも影響があると言われています。
上顎の成長は10歳くらいがピークでそれ以降の変化は非常に少ないため、幼少期にお鼻に疾患があり鼻呼吸が出来ないと上顎の成長不足が起こり、歯並びにも影響が出てきてしまいます。
舌が上顎に吸着した状態を維持するためには『鼻呼吸(びこきゅう)』が必要で、そのためにはしっかりお口を閉じる必要があります。お口が少しでも開いているとその反射で舌は下に下がってしまう『低位舌(ていいぜつ)』の状態になってしまいます。
また『低位舌』の状態だと下顎も不安定になるため、『食いしばり』を引き起こしてしまうことも考えられるのです。
ここ数年の新型コロナウイルスでマスク生活が長くなり、大人も子供も含めてマスクの下で『口呼吸』になってしまっている方が非常に多くなってしまっています。大人にももちろん影響があるのですが、特に成長期のお子さんには悪影響が強く出てしまうと考えています。是非『鼻呼吸』を意識してください。

『口呼吸対策』

簡単に出来る『口呼吸対策』として『あいうべ体操』や就寝時の『口テープ』があります。
是非試してみてください!

 

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